テレワークで人材確保
現在、働き手の確保が深刻な課題で、特に若年層の採用が難しいといわれています。
テレワーク可という勤務条件は応募者にとって魅力が大きく、採用面で非常に有利です。また、場所を選ばない働き方が可能になるため、子育てや介護を担う従業員の離職防止にも有効です。
このコラムでは、働き手が不足しているという事実と向き合いながら視野を拡げ、日本全国に目を向けます。
つい最近施行された法改正の内容に付随する、テレワークに関わる施策と動向をご紹介します。
テレワークで地方創生
現在、過疎化が進む地域は全市町村の約半数、国土全体の約6割といわれています。今のままでは、2050年に2割の地域が無居住化すると予想されています。
住民の生活基盤が失われ、自然環境や水資源などの保全ができなくなり、第一次産業が衰退すれば食糧自給率が低下します。地方から都市部への人口流入でさらなる過密化が起これば、都市部の住環境悪化や災害時の被害拡大にもつながるでしょう。
こうした背景から、『広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律』の一部が改正されて2024年11月より施行されています。改正の目的は、二地域居住の推進です。
この新しいライフスタイルに対する仕事面のサポートとして、「テレワーク」の活用が挙げられています。具体的には
・地域のコワーキングスペース、テレワーク/ワーケーション拠点などへの予算措置
・移住支援金の支給(地方創生移住支援事業)
※地域の中小企業等での就業、または都市部での仕事をテレワークで続けながら移住する場合等が対象(実施する都道府県や市町村など、詳細は要確認)
などです。
地域活性化のキーワードは「二地域居住」と「関係人口の創出」
地域の活性化には、担い手となる人材の確保が欠かせません。そこで政府がいま推進しようとしているのが二地域居住(にちいききょじゅう)です。国土交通省によると、二地域居住とは、主な生活拠点とは別に、特定の地域で生活拠点(ホテル等も含む)を設ける暮らし方です。
現在、日本の人口は都市部への一極集中ですが、これを是正するための施策が「関係人口の創出」です。総務省によると「関係人口」とは、移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、地域と多様に関わる人々を指す言葉です。
たまに観光で訪れるだけでは足りない。でも実際に住民票を移すとなるとハードルが高く、自治体同士で限られた人口の奪い合いになってしまう。そこで、都市部に住みながら特定の地域とゆるく長いつながりを持ち続ける「関係人口」を創出しようというわけです。
実際、地方圏に変化を生み出す人材が入り始めている例も多くあります。二地域居住の推進とともに、「関係人口」と呼ばれる地域外の人材が、地域づくりの担い手となることが期待されています。
モチベーションは人生を豊かに!移住への関心が高いのは若い世代
コロナ禍以降、東京圏在住者の地方移住への関心が高まっています。
国土交通省の資料によると、現在、実際に二地域居住をしている成人人口は6.7%(約701万人)にとどまっていますが、関心層は27.9%(約29万人)います。特に20歳代の関心層が全年齢平均よりも多く、45%が関心を寄せているそうです。
▽国土交通省「二地域居住等の最新動向について」(令和5年11月)
https://www.mlit.go.jp/2chiiki_pf/files/23112802kokudo.pdf
一昔前の二地域居住といえば、富裕層が別荘を買うような贅沢なイメージでした。しかし今は、世帯年収は中間層(世帯年収200~800万円未満)が二地域居住者のボリュームゾーンです。コロナ禍でリモートワークが身近になり、若年層が地方移住に興味を示していることが理由と考えられています。
今後、都市と地方を両方楽しめるようなライフスタイルが整備されていくでしょう。これらのサポートは、興味を持ちながらも迷っている人の背中を押すきっかけとなり得ます。
地方移住の第一関門は「仕事」
前出の国交省資料によると、地方移住にあたっての懸念事項は、住まいのほか、移住先での仕事、買物や公共交通等の利便性、人間関係や地域コミュニティが挙げられています。
特に仕事に関する懸念が全世代で第1位を占め、約5割となっています。東京よりも仕事が少ないため、移住後の職探しに困るのではないかという心配があります。ですが移住に際して、転職はしていない人が53.4%と、転職を伴わない移住の割合が多いことが、株式会社パーソル総合研究所の調査で確認されています。
▽株式会社パーソル総合研究所「地方移住に関する調査」(令和4年3月)
https://rc.persol-group.co.jp/news/202203221000.html
この先、限られた資源で情報社会を生き抜く若者たちが求める「豊かさ」とは、どこにあるのでしょうか?地方での暮らしを従業員が選択した時のため、今から離職防止の手立てを備えることは現実的な人材戦略といえるでしょう。
さらに移住したい理由がある子育て世代
さて、都外への移住者のボリュームゾーンをみると30~40代の働き盛り、特に子育て世代の移住が目立っています。移住の動機としては
・住宅購入の際、予算内でより広く快適な住環境を求めて(住宅価格高騰が背景にある)
・自然が近く理想的な子育て環境を求めて
・第一次産業への参画希望
・猛暑対策、災害時の避難場所確保 などが挙げられています。
いきなり慣れない土地で暮らすのはハードルが高く、近郊都市や地方都市が人気です。特に子育て支援が充実している自治体が注目されています。
通勤可能な近郊都市への移住であっても、通勤時間が長くなればBCP対策の必要性も増すでしょう。その対策にはテレワーク環境の整備も重要です。
最後はいよいよ世界を視野に入れた話~デジタルノマド解禁~
デジタルノマドとは、オンラインで仕事をしながら世界中を旅して働くライフスタイルです。リモートワークの普及により、世界中でデジタルノマド市場が急速に拡大しています。2022年に欧州を含む複数国でデジタルノマド・ビザを提供。外国人に一時的な居住を認める動きが加速中です。
日本も追随し、一定の条件を設けた上で最長6ヶ月の滞在を認めるデジタルノマド・ビザを2024年4月1日から施行。これにより、長期滞在による経済効果やイノベーションの促進が期待されています。
隣国の韓国でも、今年から「デジタルノマド・ビザ制度」を導入しました。旅先としても人気が高い日韓両国が働く拠点の候補地として加わったことで、世界のデジタルノマドワーカーから東アジアが注目を浴びています。
デジタルノマドワーカーは既に日本国内に存在します。リモートワーク中に、コワーキングスペースでたまたま隣に座って話をしたところから、日本に居ながら国境を越えたビジネスチャンスが生まれることもあり得るでしょう。始まって間もない制度ですが、今後、どのような影響や効果が表れてくるのか気になるところです。
こうした働き方が身近になってきた時代ですから、国境を越えた人材確保について検討する日も、すぐ近くまで来ているのかもしれません。
リモートワークで採用にイノベーションを
リモート環境の整備をすれば日本全国だけではなく、海外からも優秀な人材を募集することが可能になります。
・適切な人材を広範囲から募集するため
・従業員の離職防止のため(ライフワークバランスの重視)
人材確保のために、より働きやすいテレワーク環境を準備しませんか。
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